映画「HELLO WORLD」を観た

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 本来は別のページに一緒にまとめて<details><summary>で折りたたみ構造にしてネタバレ回避をしようとしていたのですが想定以上に長くなってしまったのと、<details>内だと上手くMarkdownの記述ができなくいちいちhtmlタグで書いたりというのが煩雑なのでタグ使うのやめて平文でネタバレを置くことにしました。

ネタバレ注意です。




全体の感想

お前が公開される前に言っておきたい事がある
かなりきびしい話もするが俺の本音を聴いておけ
一行さんにメガネをかけてはならない
できる範囲で構わないから

一行さんを愛でるだけのアニメなのになんでメガネキャラになっとんじゃい!(メガネをかけた一行さんは一行さんではない、というのが持論になります。修論はまだです)

 CGがぬるぬるしている。冒頭で、主人公がこけたりどんくさかったり、運動音痴な様をまざまざと見せつけられるが特に伏線を回収するとかそんなことはなかった。  ストーリーの大枠は、未来から来たカタガキナオミが、一行さんが花火大会の日に死んでしまう未来を変えるために若い堅書直実にアドバイスをする、という感じ。創作において鳥居は異界とのゲートとして描かれやすく、また今作も伏見稲荷の鳥居群で未来のカタガキナオミが顕現するのだけど、作中では座標がズレてここに来るはずではなかった、と言っていたのが新鮮だった。普通は鳥居でしか転移できないとかにしがちなので。まあサイバー系だからね。

 ほっといても未来に恋人同士になるなら干渉は最低限にしたほうが良いと思うのだが、なぜか未来の自分の行動を記録したノートを渡し、これに従えば恋人同士になれる、とトレースするように進言。絶対裏あるやんこんなん……。「DEVILMAN crybaby」の飛鳥了みたいなコート着やがってよォ……。

 自分の意志の放棄とか一行さんへの罪悪感とかそういう葛藤が全然ないまま行動をなぞっていく若いやつ。サーバ上の存在と告げられても流せる強靭なアイデンティティ。まあここは図書委員設定でSFをよく読んでるから順応が早かったとか説明があるけど。未来世界では開催されなかった古本市を一行さんが悲しむのはヤダって未来を改変して開催させてしまうのに、その後ノートに載ってないトラブルに出くわすとこんなのノートにない! ってうろたえる主人公。いやいやいや。SF好きならもっと対応力高すぎてチート主人公になってもいいと思うんだけど。一行さんと万里小路なんとかさんがイチャコラするのを楽しむ映画。イチャコラしてるの数パートとエンドロールだけだが。

 さてネタバレをすると、若い堅書直実のいる世界は大人のカタガキナオミのいる世界にあるサーバ内世界にすぎなく、大人のカタガキナオミの目的は脳死状態にある一行さんを復活させるためサーバ世界の一行さんの魂をもらっちゃお!wってやつで……? ……ン? この設定……この設定SAOでみたわー。アリシゼーションで予習した気がするわー。えっ!? 「HELLO WORLD」の監督、テレビシリーズのSAOや「劇場版 ソードアート・オンライン -東京工業大学-」の監督もなさってたんですか! なんと奇遇な!(画像略)

 最終的にはサーバ内世界にいた若いのと一行さんは無事第二世界速度を突破してサーバや管理者に管理されない世界(平行世界かな?)にたどり着いて、ここが新しい世界! ハローワールド! って言うんだけど、その後に大人のカタガキナオミがいる世界も虚で、月面基地が実世界! って入れ子構造をやっちゃうので、世界の実在が軽んじられている。平行世界に移管したね~良かったね~って感動するところに上書きで実は実世界がありました~ってやるので感動を奪われる感覚。現実とは……というところに特に回答を置いていない。  そう、カタガキナオミのいた世界も電子世界みたいなもので、実は京都市じゃなくて月面世界でした~実は脳死してたのは一行さんではなくカタガキナオミでした~ってやるけど、その入れ子構造でカタガキナオミの脳死回復させるのかなり回りくどくないか? そして月面にいるらしい大人イチギョウさんはメガネをかけている。ダレダオマエハ。僕自身がメガネスキーじゃなくむしろアンチメガネキャラであることを差し引いても、コレハヒドイ。なぜか。

 作中では、サーバ内世界から一行さんを持ってきて、脳死一行さんが目を覚まし、大人カタガキナオミと会話をするシーンがある。起き抜けの彼女(精神年齢16くらい)に花火の日の続きを……っていきなりキス迫るカタガキナオミ。大人になれよ、少年……。お前キスしたいから脳死から目覚めさせたんかいって印象になってしまう。絶対こいつ脳死してる一行さんの頬にキスしたり胸揉んだりしてますよ絶対。で唇は起きるまでタイプ。いや唇で目覚めるか試したかもしれん。ドン引きですね。でもサーバ世界の記憶を有した一行さんは若い堅書直実との記憶を有しているため、大人のカタガキナオミは堅書直実ではないって拒絶するんですね。鑑賞者もその態度を概ね引き継ぎます。その感覚で最後、いきなり知らないメガネが出てきて、良かった……! なんて言ってくる。誰やねんお前。「美女と野獣」でも似たような感覚は覚えます。野獣と恋をしていて、いざ最後になると人間に戻る王子。誰やねんお前。アニメの「美女と野獣」のスタッフのコメンタリーでは

観客はベルとともに『野獣』に恋していく
愛を確信した瞬間 王子の登場 『誰?』って感じだ

と述べられています。同じやんけ―! 構造がよォー! しかも、野獣=王子は連続しているのに対し、「HELLO WORLD」では大人キャラと少年キャラのアイデンティティが同一でないと明確に示されています。我々は大人イチギョウさんに初めましてと言わなければいけないし、僕たちは君と時間を過ごしたことはないって突き放さないといけません。残酷ですね。メガネをかけたばっかりに……。それにサーバから魂を持ってくるとサーバ世界からはその人は消えてしまう模様で、それだとサーバ世界のカタガキナオミと仲良くしてた人たちが……とか、カタガキナオミ消えたから元いた世界がサーバ内世界同様崩壊するんちゃうか……? とか、消えゆく人たちのことの振り返り、一切なし。所詮データじゃい!

 そしてこの複雑な入れ子構造、驚きのサプライズかといえばそんなことはなく劇中で大人カタガキナオミが、一行さんを取り戻すべく("救うため"ではないんですね。まあ連れ去られた一行さんも若いのを選んではいるんだけど)サーバ世界から侵犯してきた若いのが来たときに、大人のカタガキナオミがここも"現実"ではないのか……? みたいな独白をする。

exactly

 

 一行さんを守るために大人のカタガキくんから錬金術使える手袋を渡された若いのが、サーバを越えてるのに錬成できてるあたり、あっここもデータ世界なんやなってバレバレ。そうなってくると最後に"実世界"が出てくるのかなって誰だって身構える。おれだって身構える。

 錬金術手袋で錬成できるのも単体原子の鉄球などがせいぜいで、PCや脳とか複雑なのは作れないよって言ってた割に最終的にバンバン複雑なの生成してる。オイコラ。質量は等価交換、みたいな説明もしていた気がするけど、練習でプチ恒星作ったり一行さんを守るためにブラックホール作ってます。考察厨息してるか?

 崩壊するサーバ世界も、管理する博士がリカバリーを試みるけど、ロールバックじゃいかんのかと。一応カタガキナオミのいる世界でこのサーバ自体は脳死回復以外の多くの役割を持ってるみたいなのに障害起きてそれは冗長性がなさすぎではと。ホームページに「たとえ世界が壊れてももう一度、君に会いたい――」とあり、とりあえず崩壊させて危機感出すかwみたいな崩壊することが前提にありそこの考証が甘い気がした。

 ホームページには上記以外にも、

『君の名は。』以降、新境地に到達した日本のアニメーションは、
この秋きっと、新たなセカイ<HELLO WORLD>の扉を開く事になる。

 とか書いてあります。「君の名は。」はたしかに大ヒットしたけど新境地に到達するほど目新しい表現などがあったようには思えないし、本作も佳境において音楽が使われるけど、ちょっとさりげなさがなさすぎ。

キャラクターについて

・一行さん

 かわいい。やってやりましょう。髪型がアペイリアっぽい。ストーリーもアペイリアっぽいという声が多いが気にしないでおこう! 冒険小説が好きと言っていたが好きなアニメはきっとダンクーガ。

・勘解由小路ちゃん

 かわいい。はりきって、まいりましょー。ジェネリック睦月(艦これ)。と思って睦月おたくに半ば強引にこれを観せさせたが特に似ているという同意は得られませんでした。男子高校生がみんな注目する露骨なテンプレ学園マドンナキャラ出してるあたり

『君の名は。』以降、新境地に到達した日本のアニメーションは、
この秋きっと、新たなセカイ<HELLO WORLD>の扉を開く事になる。

は無理だと思うのだが果たして目標を果たせたのか? 小説のサブタイをみる限り、小説の出来が普通以上だったら一行さんより勘解由小路さんのほうがキャラ魅力度高くなりそう。おたくは偏屈。

呟いたのか、俺以外のヤツと…